薬機法においては下記のような条件に該当する場合、「広告」と判断されます。
① 顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昂進(物事の程度が高まること)させる)意図が明確であること。
② 特定医薬品等の商品名が明らかにされていること。
③ 一般人が認知できる状態であること。
薬事法における医薬品等の広告の該当性について(平成10年9月29日 医薬監第148号厚生省医薬安全局監視指導課長通知)
広告への該当性は広く捉えられており、新聞、テレビ、ラジオ等のマスメディアはもちろん、自社サイトやSNS等も広く対象となります。
また、広告規制の対象者は「何人も」とされており、広告主、媒体社、代理店等、法人・個人を問わず適用されます。
薬機法で禁止される広告は下記が挙げられます。
① 虚偽・誇大広告等の禁止(同法第66条)・・・効能や性能等を誇張したり、医療機関が保証したように表示することなどは禁止されます。薬機法 第66条
② 特定疾病用医薬品等の広告の制限(同法第67条)・・・がんや肉腫、白血病など特定疾病用の医薬品等について、医薬関係者以外の一般人を対象とした広告は禁止されています。薬機法 第67条
③ 承認前医薬品等の広告の禁止(同法第68条)・・・承認や認証を受けていない医薬品等について、名称、製造方法、効能、効果、性能に関する広告を行うことは禁止されます。薬機法 第68条
④ 指定薬物の広告の制限(同法第76条の5)・・・指定薬物については、医薬関係者等向けの新聞又は雑誌により行う等の例外的な場合を除き、その広告を行うことは禁止されています。薬機法 第76条の5
また、どのような広告が上記のような禁止条項に該当するかについては厚生労働省より基準が示されています。代表的なケースを例示しますが、詳細は下記をご確認ください。
医薬品等適正広告基準の解説と留意事項等について(厚生労働省医薬・生活衛生局)
【禁止条項に該当代表的なケース】
① 名称関係
他のものと同一性を誤認させないように表現については留意が必要です。たとえば広告の前後関係から特定の医薬品やブランドと混同するような名称を付記しないようにしなければなりません。
② 製造方法関係
医薬品の製造方法について実際の製造方法と異なる表現やその優秀性につき、事実に反する認識を得させるような表現は行ってはいけません。たとえば、「最高の技術」、「最先端の製造方法」等最大級の表現を用いることもこれに該当します。
③ 効能効果、性能及び安全性関係
承認等を要する医薬品等についての効能効果等の表現の範囲として、承認等を要する医薬品等の効能効果又は性能(以下「効能効果等」という。) についての表現は、明示的又は暗示的であるか否かにかかわらず承認等を受けた効能効果等の範囲をこえてはなりません。医薬部外品や化粧品等の製品群や配合成分等における表現方法等についても細かな基準が設けられていますので、詳細は医薬品等適正広告基準の解説と留意事項等について(厚生労働省医薬・生活衛生局)をご参照下さい。
④ 過量消費又は乱用助長を促すおそれのある広告の制限
医薬品等について過量消費又は乱用助長を促すおそれのある広告を行ってはなりません。子どもを起用することで利用のハードルが低いように表現することなどには留意が必要です。
➄ 医療用医薬品等の広告の制限
医師若しくは歯科医師が自ら使用し、又はこれらの者の処方せん若しくは指示によって使用することを目的として供給される医薬品及び再生医療等製品については、医薬関係者以外の一般人を対象とする広告を行ってはなりません。
⑥ 他社の製品の誹謗広告の制限
医薬品等の品質、効能効果、安全性その他について、他社の製品を誹謗するような広告を行ってはなりません。
⑦ 医薬関係者等の推せん
医薬関係者、理容師、美容師、病院、診療所、薬局、その他医薬品等の効能効果等に関し、世人の認識に相当の影響を与える公務所、学校又は学会を含む団体が指定し、公認し、推せんし、指導し、又は選用している等の広告を行ってはなりません。医薬品等の推せん広告等は、一般消費者の医薬品等に係る認識に与える影響が大きいことに鑑み、一定の場合を除き、例え事実であったとしても不適当とすることとされています。